陸奥守吉行は分からない(刀ミュ新作公演感想)

※ミュージカル刀剣乱舞〜結びの響、始まりの音〜の1部の感想、及び陸奥守吉行のオタクの妄言です(ネタバレしかしてません)。

※台詞はうろ覚えです。





4月24日の、結びの響始まりの音夜公演を観劇いたしました。


一年前の三百年制作決定時。ミュとステ合わせて2.5デビューしていない初期刀は陸奥守吉行だけで、彼が出るならミュージカルだろうと半ば確信めいた予感のあった私は、推しの刀ミュデビューを今か今かと待ちわびていました。


しかし、三百年、つはもの、どちらにも推しの姿は無く。


かっこよすぎて実写化は無理なのかな、方言難しいのかな、なんて思いながら縋るような気持ちで迎えた去年の真剣乱舞祭。待ちに待った吉行くんの出演が発表された瞬間の、あの興奮。その場でギャン泣きし、ふらふらになりながら帰った結果、大量の涙を吸ってくれた兄者タオルをどこかで落としてしまい落ち込んだこと。ついこの間のようです。




発表から4ヶ月、ついに、ついに舞台に立つ陸奥守吉行を拝むことができる。


望外の喜び、幸せの極みです。チケット当てた過去の私、偉いぞよくやった。田村心さん、刀ミュ運営、その他関係者の皆様、全世界に感謝。。。(合掌)






で、問題の1部。



なんかもう……陸奥守吉行………………好きだよ………(天を仰ぐ)


脚本も演出もキャストさん達の演技もほんっっとーーに素晴らしくて、言いたいこと山ほどあるんですけど、一度推しに対しての感想をまとめないと気が狂いそうなんで、陸奥守吉行くんについて思ったことを以下に書き殴ります。



舞台が終わった帰り道、最初に口から出た吉行くんに対する感想は、「驚いた」でした。あれだけ密度の濃いものを見せられたのにも関わらず、鶴丸国永の口癖しか出てこない自分の貧弱なボキャブラリーが歯痒いばかりですが、兎に角、真っ先に感じたのが衝撃だったんです。


で、何に驚いたか。


ミュ本丸の陸奥守吉行くんが、分からなかったことにです。


私は陸奥守吉行くんが好きです。明るく、快活で、天真爛漫で、好奇心旺盛で、大らかで、聡明で、優しくてカッコいい、刀剣乱舞界一のイケメン男士だと思っています。眩しくて、その存在はまさに太陽のような。


そんなマイサンシャインが、太陽が、分からないんですよ。たしかに太陽のように回りを照らして元気付けたりしていたけれど、部隊の会話にあえて入らなかったり、一人だけ離れたとこに居たり、自分のことをはぐらかして多くを語らなかったり。見えない陰の部分があったんです。序盤で兼さんが、「アイツが何を考えてるか分からねぇ」「(元主が死ぬ場面を見ても動じないなんて)アイツには心が無ぇ」って憤慨するんですけど、それがまず驚いた。え?吉行くんってそんなに考えが読めないキャラだっけ???あんなに優しくて元気なのに心が無いって見られてるの???


刀剣男士のなかでも、思考や性格が神様に寄ってるキャラ、物に寄ってるキャラ、人間に寄ってるキャラって居ると思うんですけど、吉行くんは断然人間に寄ってるキャラだと思っていて、坂本龍馬という人間の生き様を一番近くで見ていたからこそ、人の心が分かるし、吉行くん自身も人間らしい感情の振れ幅があると思っていたんです。活撃や花丸の吉行くんも、表情コロコロ変わるし、喜怒哀楽もはっきりしてるし、とても生き生きとした姿で描かれていたから、そういう刀なんだと疑いなく思い込んでいたんですね。


な、なのに心が無いように見えるだと…!?しかも活撃ではあんなに感情をぶつけ合ってた兼さんにそう言われるだと…!?どういうこっちゃ……!??


もしかして、私の解釈って間違ってた…?


1部の陸奥守吉行くんは、肝心な胸の内はあえて見せない、秘めた部分が多いキャラクターでした。回転する舞台の上で、何度か吉行くんが背を向けるシーンがあったんですが、後ろ姿がね、なんか切ないんですよね。あんなに明るくてお調子者みたいに振る舞うのに、ふとした背中が、切ないんですよ。


マイサンシャインの陰の部分(決してネガティブな意味ではなく、表立って見えない、光の当たらない部分という意味で)を明確に意識してしまい、またもや衝撃を受ける私。推しがエモーショナルすぎる……後ろ姿だけで一句詠めそう………



刀ミュの吉行くんって、ちょっと不器用なんですよね。


それって、ミュの三日月さんや石切丸さんの不器用さとも似ていて、優しいからこそ、周囲を気遣って、あえて自分の本心を見せようとせず、それで誤解されたり訝しまれたりしてしまう。


作中吉行くんがよく口にしていた「らぁて」だって、そんな優しい吉行くんの照れ隠し的な意味合いもあったんじゃないかな。


私が知ってる吉行くんなら、兼さんにも真っ直ぐぶつかって言いたいこと言ってた気がする。自分から進んで行動して周囲を巻き込んで、問題を解決してた気がする。実際に吉行くんはそれができる器量があると思う。



でもミュの吉行くんは、あえて言わないことを選んだ。 行動力も推進力もありながら、あえて"動かない"、"語らない"ことを選んだ。

兼さんが言った、「お前はいつも正しいよ。」って、まさにその通りで、吉行くんは常に冷静に状況を判断して正しい答えを導き出せるんですよね。でも、迷い葛藤してる人に対して一方的にその正しさを振りかざしたりはしない。それは、兼さん自身で答えを見つけだせるようにっていう吉行くんの優しさな訳で。善悪だけで行動できない、割り切れない心の葛藤を、吉行くんはちゃんと理解できてるんですよね。好き。



本編の吉行くんは、感情を剥き出しにしてぶつけたりしない。始終理性的で、驚くほどニュートラルでした。

「らぁて」、なんちゃって。

そう言葉の最後に付けて、ガハハと笑ってみせる。場の空気を和ませたり、新撰組の刀が動揺してる時には、客観的な視点から物を言ったり。


自分の元主のことで感情が揺さぶられてる兼さんがそんな吉行くんの態度に苛立つのも分かります。いつにも増して兼さんには余裕が無く、朗らかに笑って飄々としてる吉行くんの態度が尚のこと鼻に付く。パンフのコメントで有澤くんも言っていたけど、自分の未熟さを思い知らされるようで、余計に当たりがキツかったんじゃないかな。


ミュの吉行くんって、精神年齢が高く常に達観してるように見えて、それもまた新鮮でした。それこそ、人生酸いも甘いも噛み分けてきたような…きっと本丸の中でも顕現が早かったんだろうな…。

特に、まだ人の心の変化に疎い巴さんや自分の心に振り回されててままならない兼さんとは対照的で、余計に吉行くんの成熟ぶりが伺えました。



私が衝撃を受けたもう一つのシーン。


長曽祢さんが、近藤さんの死に立ち会ったことを吉行くんに打ち明けた後、去り際に吉行くんが零した「すまんのぉ」。





そこで謝るのか!!!!!!!





なんですまんと出てきたのか。上手い言葉が見つからなくて?辛いことを思い出させて?自分が近藤さんの敵(というか相対する立場)の刀で?自分の主と重ねてしまって?


…優しい、あまりに優しいぞ吉行くん…そしてやっぱりちょっと不器用だぞ吉行くん……。


「なんでお前が謝るんだ」って、全くその通りですよ…でもこの言葉、曽祢さんを思って自然と溢れちゃったんですよねきっと…。その後の曽祢さんの、ちょっと泣きそうな、笑い声。ちゃんと吉行くんの優しさ汲み取ってくれてる…この二人、良い………(合掌)




龍馬が死んだ時のことを「忘れた」と言いながら、ところどころでよさこい節を口ずさむ吉行くん。同じ経験をした曽祢さんに、「すまんのぉ」と零す吉行くん。兼さんの葛藤が分かるからこそ、あえて口を出さなかった吉行くん。



ちっとも忘れてないじゃん!!!!!!忘れられるわけないじゃん!!!!!


絶対ちょちょぎれたじゃん……………



空いた穴は塞がらない。みんなどこかが欠けている、今回の刀剣男士達。


龍馬のためにも、歴史を守る。


吉行くんは、胸に空いた穴も受け止めて、前を向いている。心の中に深い哀しみを持っていても、それを表に出さず、笑って明日を見ている。


あまりに直向き。あまりに美しい。あまりに眩しい。こんなに純粋なのも、物だからなのか。


人の身を得ながら、心を持ちながら、本質はどこまでも人に使われる武器である。吉行くんは、刀の限界も、拳銃の限界も痛いほど知っている。人の命を奪う意味も、戦の虚しさも、自分が物であり、武器であることも知っている。この切なさと哀しさを持ち合わせていながら、吉行くんが龍馬を思って、選び取った、「歴史を守る」という選択。


この吉行くんの言葉は、それぞれの物語に悩む他の刀剣男士達にとっての、一つの道標というか、光になっていたように思います。



陸奥守吉行、やっぱり太陽じゃん………




吉行くんが持つ、坂本龍馬との物語。


確かに、吉行くんは坂本龍馬に似てるんだと思います。


でも吉行くんの振る舞いや言葉選びは、坂本龍馬の側にずっと寄り添っていた"佩刀"の視線から来るもので、龍馬に起因するけど、龍馬そのものでは無い。龍馬の生き様を見て、じゃあ自分はどうしようかって、考えて、行き着いた吉行くんの答えがあれなんですね。


刀なのに刀を否定してるって、一見凄く矛盾した存在のようにも思えるけど、彼が考えて選んだ答えならそれでいいと思うんです。



それもお前の生き方だよ……………





そして、衝撃の最後。



あれだけ敵に留めを刺さないことを指摘されておいて、「命まで奪うことはない」って言っておいて、散々はぐらかしておいて、最後の最後に銃で土方さんの命を絶つって、もぉさーーーーーほんと、そういうところだよ刀ミュくん!!!!!



いや、陸奥守吉行くん、心が強すぎやしませんか…。


この刀、あまりに優しくて、強い。仲間の想いも背負って、辛い役目を黙ってこなせる強さがある。拳銃を構えた時の、あの覚悟の宿った瞳。決して狙いから目を逸らさずに、真っ直ぐ、前を向いて。


あの最後の、拳銃の音。結びの響き始まりの音というタイトル。


刀の時代の終わりの音を、陸奥守吉行くんという刀が響かせたんですよ…。


龍馬が夢見た、先の未来のために。


刀ミュくん、あまりに完成度高すぎやしないか………こんな、こんな陸奥守吉行が見られるだなんて聞いてないよ…好きです………付いていきます……






活撃、花丸、どちらとも違った、また新しい陸奥守吉行くんを、今回のミュージカル刀剣乱舞で提示していただきました。新しかったけど、確かに陸奥守吉行だなと思えました。特に活撃とはある程度題材が被るから、あえて違うアプローチをしていたのが面白かった。原作の吉行くん、活撃の吉行くん、花丸の吉行くん、刀ミュの吉行くん、みんな違ってみんな良い。こんなに色んな推しがみられるなんて………本当に有難い。



私は陸奥守吉行くんが好きです。明るく、快活で、天真爛漫で、好奇心旺盛で、大らかで、聡明で、優しくてカッコいい、刀剣乱舞界一のイケメン男士だと思っています。眩しくて、その存在はまさに太陽のような。


1部を見ても、その認識は変わりませんでした。


ただ、私が思っていた以上に、陸奥守吉行くんは思慮深くて、その心のうちは私が思っていた以上に、複雑かつ繊細でした。きっと、審神者が考えている以上のことを吉行くんは考えているんだと思います。"先を見据えた物の考え方をする"けど、その先がどのくらいの先かは分からない。明日のことかもしれないし、遠い未来のことかもしれない。ブラックホールを覗き込むように、計り知れなく、捉えきれないんです。


だから、"分からない"。

分からないことが、分かったんです(笑)。


陸奥守吉行のキャラクター性は平面的なものでなく、もっと立体的な、深みのあるものでした。複雑な心情は単純な形容詞だけでは説明できない。そんな当たり前のことに気づかされました。


前々からついったーの検索で目にしていた、「陸奥守吉行が分からない」という陸奥クラさん達の気持ちがようやく理解できました。いやぁ、吉行くん深い、深いよ。


正直、ここまで吉行くんについて考えさせられるとは思っていなくて、だからこそ、一番に出た感想が「驚いた」。

は歴史にも刀剣にも詳しくないから、あんまり深い考察はできないし、吉行くんに関しては考察の必要性自体をあんまり感じていなかったけれど、今回吉行くんを新しい方向から掘り下げてくださったお陰で、陸奥守吉行というキャラクターを見直さずにはいられなかったし、その結果、より一層愛が深まりました。感謝。




今、こうして1部を振り返って。



ミュの吉行くん、大好きです。



優しくて強くて、やっぱり誰よりも格好良かった。大きくて眩しい太陽だった。




陸奥守吉行は、人に寄り添える刀だと思います。


審神者の隣で、一緒に夢を見てくれる刀だと思います。


「おんしゃ、目標はあるがか?」


審神者が口にした目標がどんなに小さくても、吉行くんなら「えぇのぉ、わくわくするのぉ」って言ってくれる気がする。


すぐ隣にいて、先を見て、一緒に夢を追っかけてくれる。

刀の時代よりも、拳銃の時代よりも遥か先へと。

吉行くんと一緒なら、大きな海にも漕ぎ出せる。


吉行くんほど刀剣男士人生(刃生?)を謳歌してるキャラって、他に居ないんじゃないでしょうか。


吉行くんが初期刀なのって、結局彼がそういうスタンスだからじゃないのかな。いや分からんけど。




天狼伝では舞台装置を動かしていたというシンデレラボーイ、田村心さん。


陸奥守吉行を演じてくれてありがとうございました。


ビジュアル、声、仕草、殺陣、身のこなし、全部全部、陸奥守吉行くんでした。あまりに吉行くん再現度が高いもんだから、逆に動揺したというか、こんなに恵まれてていいのか!?と劇中何度も思いました。

待ってて良かった。田村さんに演じて貰えて、本当に良かった。


陸奥守吉行というキャラクターをこんなに肉付けしてもらえて、素晴らしい役者さんに愛情を持って演じてもらえて、幸せです。田村心さん、ありがとうございます。また近いうちに会えるといいな。(あわよくばソロ曲を…)(兼さんとのデュエットも…)(極姿も…)



こんなに一人の登場人物を定点カメラして見た舞台は初めてでした。きっとライビュのカメラワークで見たらまた新しい発見があるんだろうな。楽しみだな。



ちなみに2部の記憶はほとんどありません!終わった後、獣の作曲者に金一封を差し上げたくなったことは覚えてる!!


以上、まとめようと思ったけどまとまらなかった感想でした。マイサンシャイン陸奥守吉行、愛してるよ!!!!!!